こんにちは、博多区古門戸町、やまだホワイトクリニック歯科院長の山田友康です。
歯周病を持つ人は持たない人に比べて関節リウマチの発症リスクが2.7倍になるお話をします。
近年、歯周病と関節リウマチとの関係が注目されています。関節リウマチの患者の約8割の血液中には、抗シトルリン化蛋白抗体（抗ＣＣＰ抗体）という、シトルリン反応を経たタンパクを認識する抗体が検出されますが、この抗体はしばしば関節リウマチの発症に先立って検出されます。また、歯周病菌の一種でありますポルフィロモナス菌シトルリン化を起こす酵素を産生する細菌であることも報告されています。そのため歯周病罹患が、この歯周病菌の持つシトルリン化酵素による過剰なシトルリン化介して、抗ＣＣＰ抗体の産生を引き起こし、関節リウマチの発症につながっているのではないかと考えるようになりました。
そこで、京都大学医学部附属病院歯科口腔外科の別所和久教授と同院リマチのセンターの橋本求助教らの研究グループは、この相関関係を証明するために研究を開始しました。約一万人の健康人を対象とした疫学調査「ながはまコホート」のデータを用いて解析を実施しました。その結果、健常人の約1.7％に、関節リウマチを発症していないのにもかかわらず抗ＣＣＰ抗体の産生が確認され、この抗体の有無や力価と歯周病の臨床評価の指数とが有意に相関することを見出しました。
さらに京大病院リウマチセンターを未治療、未診断で受診した72名の関節痛患者の歯周病状態を評価しました。それらの患者がその後関節リウマチを発症するか、2年間の追跡調査をおこないました。その結果、初診時に歯周病を持つ関節痛患者は、歯周病を持たない患者と比べて、関節リウマチと診断されるリスクが約2.7倍高くなることが、判明しました。研究グループは今後、歯周病が関節リウマチの発症に影響を及ぼすメカニズムが抗ＣＣＰ抗体の誘導だけなのか、あるいはポルフィロモナス菌が特に関係しているのかなどについては、さらなる研究が必要としています。